「ワールドスタンダード」としての活動や、ビートルズ・カバー集「りんごの子守唄」シリーズ、そしてハナレグミ、湯川潮音などのプロデューサーとして知られる音楽家・鈴木惣一朗が、自ら病む耳鳴りの治療に端を発して作ったCDブック。同じく耳鳴りに悩まされてきた坂本龍一との対談などが収録された本と、ワールドスタンダードの新作と言うべきCDアルバムとで構成されています。
耳鳴りは原因が不明であることが多く、それゆえ治療が難しいケースが多いのが現状。CDアルバムは症状の緩和や治療ではなく、あくまで耳に馴染む音を聞くことで疲労の軽減やストレスの解消に繋げるような目的で作られたもの。ひとりの音楽家が切実にしかし丁寧な気持ちを持って作った、本当の意味でのヒーリング(癒し/回復)のための音楽。CDブックという体裁をとっていますが、1枚のシンプルな室内楽作品として楽しめるクオリティがあり、耳鳴りに関係なく生活の中に静けさを求めるときのBGMとしてお薦めできるものとなっています。もちろん医療関係のBGMとしても最適ではないでしょうか。ピアノや弦楽器など、生の楽器の響きこだわって作られており、電子楽器だけで作られたような安易な類似作品とは一線を画した出来だと断言します。(その「効果」にはもちろん個人差があることをご了承ください。)
[目次]
まえがき 音楽家、「耳鳴り」に悩む
part 1 耳鳴りについて大石直樹先生に訊く(慶應義塾大学病院 耳鼻咽喉科外来医長)
part 2 音楽家、耳鳴りについて語る 坂本龍一さんに訊く
part 3 自分の症状に効果があるのかどうかを確かめつつ、耳鳴りにやさしい音楽をつくってみた。
part 4 収録 CD「Music for Ringing」はどのようにつくられたのか? 楽曲解説
安眠するために聴いていた音楽リスト
あとがき
[収録CD]
『Music for Ringing』
01. 美しい響き
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02. 降っても晴れても
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03. 狼の眼
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04. 永遠の夢
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05. 壁掛けのピアノ
06. 鏡のなかの鏡
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07. 生い立ちの歌
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08. ロウソクの炎
09. 生まれては消えてゆく音
10. 夜に想う夜に眠る
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11. 小さな鐘
プロデュース:鈴木惣一朗(ワールドスタンダード)
演奏:田中佑司(ピアノ、ヴィブラフォン)山本哲也(シンセサイザー、マニピュレーション)中島久美(ヴァイオリン、ヴィオラ)白佐武史(チェロ)伊賀航(コントラバス)安宅浩司(ペダル・スティール)三浦千明(ホルン)
total playing time: 44:49