雪の国からの静寂(silencio)のうた。
スペイン語の「シレンシオ」は英語で言えば「サイレンス」と同じ単語であるはずですが、とても静かな状況を表した意味だけでなく、静かである事の意義や静けさに美点を見出す様な意味合いがあるように感じます。鈴木惣一朗率いるワールドスタンダードの各作品は、業界屈指の音楽マニアである惣一朗氏本人がその時期に嵌った音楽に影響を受けているのが通例ですが、2010年の本作ではアルゼンチンのネオフォルクローレが顕著。しかし影響を越えた普遍性を生み出している大きな要因が神田智子の清楚な歌声とジャケットの絵ではないかと。降り積もる雪と同じく、しんしんと、という形容がふさわしい祈りのような音楽。
01. アヴェ・マリア Ave Maria
♪
02. シネマ・リオ・ブランコ Cinema Rio Branco
03. 世界の不幸 Os Males Do Mundo
♪
04. 愚かなりわが心〜オポルト Descanca coracao 〜 Porto [My Foolish Heart〜Oporto]
05. 光に満ち Cheio de Luz
♪
06. 銀河 Ginga
07. 満月 Muna Xeia
♪
08. 魔法にかけられた歌 O Canto Encantando
♪
09. 黄金の蜜 Mel Dourado
♪
10. アキ・アイ Aqui,Ai
11. ナザレ Nazare
12. 雪の降る街を Yuki no Furumachi wo
♪
13. シレンシオ Silencio
♪
<ボーナス・トラック>
14. アキ・アイ( ファースト・ヴァージョン)
♪
15. サンタ・カタリーナの見晴らし台 Miradouro De Santa Catarina
16. アカボウ・ショラーレ ACABOU CHORARE
total playing time: 67:47
メッセージが氾濫する昨今、内なる音楽を持ち続けるには素養が求められる。音学の森羅は、時間空間はもとより、内と外に無限に広がっていくと思えば愉しいことこの上ない。その迷宮にざわめく雑多な音の中から音楽を発見し、マーカーを記していくことによって自ずと道が現れてくる。そんな探検家でもある鈴木惣一朗が見つけた「シレンシオ」の道は、後から来る人への貴重なガイドとなるだろう。(細野晴臣)