環境音楽=都市の音楽をデザインする音響デザイナーの先駆的存在で、発表されたいくつかの音盤作品が軒並み世界的な再評価の真っ只中にある吉村弘。1986年にリリースされた『GREEN』には、植物を指す緑の意味だけでなく、その言葉の響きや派生するイメージを重要視しているとライナーに記されています。同じような響きの曲名が並ぶのもそのため。都会化が進んだ80年代の日本では表面的な自然への回帰や森林浴を求める流行がありましたが、それが過去のものとなった今では、より一層この『GREEN』への向き合い方が自然となるのでは。
『ナイン・ポストカード』と同様、チープとも言えるシンセサイザーの音色がこうも心地よく響くのは、何より吉村弘の音への探求心から成るものが大きいからと言えます。淡々とした作業のBGMとしても、睡眠前の心落ち着かせる音楽としても。
01. CREEK
02. FEEL
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03. SHEEP
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04. SLEEP
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05. GREEN
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06. FEET
07. STREET
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08. TEEVEE
total playing time: 42:57
日本の埋もれた音楽を精力的に発掘する米Light in the atticによる2020年再発盤。輸入盤ながらオリジナルLPの帯を模した帯付き。ブックレットにはオリジナルのライナーや、作曲のスケッチが掲載されています。近年のジャパニーズ・アンビエント・ミュージック再燃の代表的1枚として(オリジナルLPを入手することの難易度の高さを含め)『GREEN』が再発される事の重大さは計り知れないものがあるかと思います。皆さんの耳にはどの様に響くことでしょう。
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