最小限の楽器数。最小限の和音。最小限の旋律。最小限の音量。で、出来た音楽。
作曲家アルヴォ・ペルトは1935年エストニア生まれ。教会音楽などの古楽に没頭し、「ティンティナブリ様式(鈴声の様式)」と名付けた自らの作曲技法を用いた、現代音楽としては非常にストイックな美を追求する作風で人気を博している。ティンティナブリ様式は、鈴(鐘)の音が放散する様に由来した、単純な和音を一つの鐘のように響かせる作曲技法とされるが、その結果作られるのは、非常にシンプルで、激しさにも静けさにも太古から在る人間の本能的な部分を映し出すかのような音楽だ。そしてペルトの作品中もっとも静かだと言えるのが本作に収録された楽曲。
収録曲は5曲。1曲10分前後。単純な上昇下降の旋律を繰り返すピアノに、ヴァイオリン(またはチェロ)が全音符を弾き続ける「Spiegel im Spiegel(鏡の中の鏡)」。ピアノ・ソロによる「Fur Alina(アリーナのために)」。陽と陰、と言えるこの2曲が交互に現れ消えていく。ひたすら最弱音で。ペルトの音楽は無垢に極限まで近づくかのようで、多色の光を集めた細くまばゆい白色の光のようである。このCDをリリースするECMレーベルは、「静寂の次に美しい音楽」というコンセプトを掲げているが、それをもっとも表している1枚と言える。全国の静かなブックカフェの定番となるべき1枚でもある。是非、読書とともに。
01. Spiegel im Spiegel
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02. Fur Alina
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03. Spiegel im Spiegel
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04. Fur Alina
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05. Spiegel im Spiegel
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Vladimir Spivakov - violin (01,05)
Sergev Bezrodny - piano (01,05)
Alexander Malter - piano (02,03,04)
Dietmar Schwalke - cello (03)
total playing time: 51:24
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