今は亡きシンガーへの敬意と挑戦と発展。
伝説となっているシンガー・ソングライター、ニック・ドレイク。彼の代表作『ピンク・ムーン』をピアノでカヴァーするこのピアニストは、ロンドン生まれのデミアン・ドネリ。26歳で世を去った悲劇のシンガーと捉えられるニックですが、その歌=メロディはとても雄弁で様々な表情を見せます。ピアノ・ソロとしては実にメロディアス。例えば曲中で転調する場面はピアノらしくよりドラマティックであり、原曲では1分ほどの曲もその世界観を波紋のように広げて、ニックの心の奥底を旅するような演奏が続きます。原曲には(それが魅力と言える)陰鬱な面持ちがありますが、デミアンは心の中の美を解放させるような演奏に昇華させていて、メロディの素晴らしさを素直に感じられるアルバムにしています。それは傑作を残したことへの感謝に他ならぬものでしょう。
01. Pink Moon
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02. Place to Be
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03. Road
04. Which Will
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05. Horn
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06. Things Behind the Sun
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07. Know
08. Parasite
09. Free Ride
10. Harvest Breed
11. From the Morning
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12. Fly*
13. One of These Things First*
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*Bonus Tracks (アルバム『BryterLayter』からのカヴァー)
total playing time: 49:38