少女はふわふわと。しかし何もせず漂っている訳ではなく。ときに自ら流れに身を任せ。ときに鋭い眼を見せ。美しいものを美しいと言い。強きものの強さに憧れ。大空、空の色、飛ぶ鳥たち、不機嫌な雨空であったり雪、雪どけの輝く風景、春一番。
金延幸子。「日本の女性シンガー・ソングライターの草分け的存在」と語られるのは、偏にその詩的な情景描写の素晴らしさから。そこに見える意思の強さ、飾らないカッコよさ。女性が曲を作り、歌い、自らを主張することは、このアルバムが発表された1972年ごろではまだ珍しいとされることでした。彼女の視点、言葉の選び方、それらに古さを感じさせないところに、『み空』の名盤たる所以があるのでしょう。
01. み空
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02. あなたから遠くへ
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03. かげろう
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04. 時にまかせて
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05. 空はふきげん
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06. おまえのほしいのは何
07. 青い魚
08. 雪が降れば(ようこさんにささげる)
09. 道行き
10. はやぶさと私
11. 春一番の風は激しく
total playing time: 41:23
※米Light in the atticからの2019年再発盤。オリジナル・マスターテープからのリマスタリング。LPとは異なったデジパック仕様の横長サイズですが、金延幸子が渡米した当時の写真や再発時のインタビュー、オリジナルの歌詞カードなどが掲載された32ページの豪華なブックレットが挿入されているなど、敬意と愛情溢れるデザインとなっています。日本のURCレーベルより1972年にリリースされ知る人ぞ知る存在だったものが、かつて小沢健二がライヴSEで使用したことから再評価され、今またアメリカより「Japan’s first female singer-songwriter」として注目されていることに感慨深いものを感じます。