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雨と休日のインタビュー・シリーズ第4回。今回は、2010年12月に待望の第2号が発売された『BALLAD』*1*2を発行しているユニット、saitocnoのおふたりでご夫婦でもある齋藤紘良さんと齋藤美和さんにお話を伺いました。音楽、子育て、教育と、様々な側面を持っている『BALLAD』と同じように、saitocnoが関わる幅広い活動についてお聞きしました。
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aitocno プロフィール --
齋藤紘良&齋藤美和のふたり組。東京都町田市在住。旦那さんである紘良氏は「しぜんの国保育園」の園長を務めるほか、Koryo Saito、Saturday Evening Post、COINN、yo-ho、トンガクルーズとしても音楽を制作。奥さんである美和さんは、編集の仕事を経て、ともに「BALLAD」の編集のほか、簗田寺で行われるお祭り、音楽イベントなどをプロデュース。お子さんは現在2歳。
→saitocno web site
→BALLAD issue#1 商品ページ
→BALLAD issue#2 商品ページ
- 最初に、おふたりのプロフィールを交えて、「saitocno」というユニットが生まれるまでのお話を聞かせてください。
齋藤美和(以下 M):私はもともと編集の仕事をしていました。編集者になるというのが小さいときからの夢で。大学を卒業してから編集プロダクションに就職して、イマココ社という小さな出版社で働いていました。その後、結婚をして、3年間ぐらいお金をためてふたりでイギリスへ行きました。もともと、こどものことに関わっていたわけではありませんが、こどものことに関する仕事をしたいと思うようになって、現在に至ります。
齋藤紘良(以下 K):この簗田寺の二男として生まれました。ずっと音楽をやっていて、家を継ぐこと…つまり保育園の経営と音楽をどうやってつなげるか。折り合いを考えていて。両方やるのは大変だけど貫かないとな、と考えました。もともとヨーロッパの音楽が好きで、なぜそれらが生まれたのかを体験したかったんです。前からずっと考えていたのが、情報が多すぎて知ってるか知ってないだけでその人の価値が判断されるというのは儚いな、ということでした。儚さより図太さを。そういう力はどういうところから来るのかを知りたくていろんなひとに聞いて回りました。それを他の人におすそわけしたい、ちっちゃい本でもいいから出していきたい、という願いがもともとあり、それを胸にイギリスへ留学したんです。イギリスへ行く際に、ヴァシュティ・バニヤンや、ペンタングル、ハイラマズのショーン・オヘイガン(すべて第1号に掲載)とか、好きなミュージシャンにメールを送ったら、返事が返ってきちゃって(笑)。これはとんでもないな、と。ヴァシュティ・バニヤン*3とか、会わなきゃ、と。
-「BALLAD」は、自分が知りたいものをまとめた、ということでしょうか。
K:自分の趣味を超えたところを知りたいと思って。それってきっとみんな知りたいことに繋がるんじゃないかな。というか、「みんな知りたいことを知りたい」と思ったんです。
-「BALLAD」のコンセプトはどのように固まっていったのでしょうか。
K:人々のあいだに受け継がれてきたもの。その中で漏れてくる話の中に、それこそ100年前でも1千年前でも1万年前でも人類に共通してきた喜びや心の揺らぎが備わってるんじゃないか。その片辺を見つけたい。というのがいちばんのコンセプトです。
人間ていちばん面白いと思うんですよ。作品よりも。作品はあくまでその人のアウトプットで。人間から出てくるものってどんな人でも…すべての人類に共通して、歴史があると思うんですよ。過去の歴史。自分が生きてきた以前の過去。様々な物が重なってできた人間としてのシステム。その全員が共通しているものを知りたい。例えば恋をするとか、みんな共通するから恋の歌がたくさんあるんだろうし、過ぎ去った後のむなしい感じとか。そういう言葉にされてないけれど、みんな等しく感じることとか、そういうものが必ず歴史のどこかに見えると思う。それをまとめたいんです。
「BALLAD」のコンセプトを極めていけば、本当に通りすがりの人へのインタビューでも面白い引き出しがあるはずなんです。そこに息づいている何かがあれば。いずれ12冊ボックスセットを出したいから(笑)、1号で書いたことと12号で書いたことが違っても面白いだろうなと思います。「BALLAD」自体が成長したら面白いですね。
-「BALLAD」の、デザイン面でのコンセプトはどういったものがありますか?
K:イギリスに行ったときに雑誌を見たんですが、余白がすごい大胆に使われているんです。欲張ってない。日本の雑誌はかなりぎゅうぎゅうに詰め込んでますよね。それはやめようと思って。セキユリヲ*4さんにデザインを相談したのは、わたしたちのやりたいことを心からわかっていてくれていて、わたしたちも、セキさんのもちろん作品が大好きということが一番大きいですが、わたしたちの好きなヨーロッパの雑誌を良く知ってるからです。
M:なるべく、写真のキャプションは入れないようにしたいなとか、小さなこだわりを大切にしました。あと、お部屋に飾れるものを作ろうと思いました。
K:1枚の音楽アルバムを作るような感じで作ってます。例えば余白を作るというのも、全部音が詰め込まれてるんじゃなくて、沈黙の部分があったりするような。
- 紙媒体としてのこだわりはありますか?
M:紙はこだわりました。触って気持ちいい紙が良いなと思ってセキさんに相談しました。セキさんは私たちのやりたいことをすごく良くわかってくださるし、本を作ったらいいよって、ずっと言ってくれていました。ADとかデザイナーというよりは編集的なところもちゃんと見てくれていて、一緒に作っている感じです。セキさんも職人さんの文化を絶やさないようにサルビアを作ったり、目指しているところが近いような気がしています。おこがましいですが。
- おふたりの役割分担は?
M:私は書き手。編集全般を担当してます。
K:僕はディレクターです。コンセプトとか、毎回の特集を決めるとか、魂の部分は僕が担当して。それを形にしてもらっている。あと、これは絶対書いて欲しいんですが、周りに素晴らしい写真家がいるので、その方々の力があってこそですよね。
M:嶋本麻利沙さん、品田裕美さん、船橋陽馬君。この3名にはすごく助けられています。やっぱり雑誌は写真が重要だから。最初に見るのは写真ですよね。あっでも、雑誌でもないんですけどね、「BALLAD」は。